ひらひらと舞う花びらを見ると、急に悲しくなった
まるで永遠なんてないとあざ笑うようにオレの手をすり抜けていった

さく、さく、と花びらの山を静かにそっと歩く音が聞こえた
この風のような気配をオレはよく知ってる

『何してんの?』

やはりそいつはオレの予想通りの相手で、ふわりと笑って、首をかしげた

「ちょっと、見てただけだ」

『・・・サスケと桜かぁ・・・絵になるけど似合わないね』

「どういう意味だよ」

がくすくすと笑う
オレは結局一枚も捕まえることのできなかった手を握り締め、ポケットにしまった

「行くか」

『どこに?』

そうだった
オレはどこに行くでもなく、を呼び出したのだった
なんだか無性に、会いたくなって
不安になって

はどこに行きたいんだ?」

『え?私の行きたいところに連れて行ってくれるの?』

「たまにはな」

『わーい、じゃあ・・・甘味処に行きたいな』

の勝ち誇ったような笑顔が見える

「・・・仕方ねぇな」

『え?本当に?やったぁ』

は細く、白い腕でガッツポーズを小さくつくったあと、その手でオレの手を握った
その動作はさも当たり前といった感じで、振り払うわけにはいかない気がした

『行こ』

桜が風に舞う中、二人で歩いた

『でも、どういう風の吹き回し?私の行きたいところに連れて行ってくれるって言うし、しかも甘味処でもいいなんて』

「別に、気が向いただけだ」

『・・・ふーん?サスケも気が向くときがあるんだね』

「いつもだろ」

『えぇー、何の根拠があって言ってるの?』

光に透けて少し茶色がかった髪がかすかに揺れる

「ぶつぶつ言うなら、甘味処には・・・」

『え、ごめんごめん!もう・・・都合がいいなぁ』

オレの肩をおかしそうにぽんぽんと叩く

そうこうしているうちにあっという間に甘味処についた
は本当に嬉しそうに店員と受け答えをし、席に着いた

「何にするんだ?」

『え、もしかしておごってくれるの?』

「いいならいいが」

『え、いや、もちろん、おねがいします』

「・・・で、どれを頼むんだ?」

『それじゃあー・・・抹茶パフェにしようかな。サスケは?』

「茶」

『あはは、じゃあ頼もうか。すいませーん』

ひらりとの手が上がり、手馴れた様子で店員に頼んでいる
そういえば、二人で甘味処に入ったのは本当に初めてだった

『せっかく二人で甘味処に入ったんだから、何か挑戦してみないの?』

「遠慮する」

『つまらないのー』

の頬が膨らむ
思わず両手で挟むと むふぅ と声を上げた

『やめてよぉ、恥しい』

「変な顔するからだ」

『ひどい・・・』

「ふん」

『もー・・・・・・ねぇ、サスケ・・・・・・別に、理由とかないよね?』

「何が」

『急に、私の行きたいところに連れってってくれたりして』

「・・・当たり前だろ」

『うん・・・だよね・・・』

「あぁ」

がオレの目を見てるのが分かる
でもオレは合わせることができない

『・・・ねぇ、目を見て言ってよ』




「お待たせしましたー」

そこで店員が運んできた
いいタイミングだった
オレは目の前に出された茶を飲んだ
の前にはでかい抹茶色のパフェがおかれた

『うわー、すごい』

「お前全部食べれるのか?」

『別腹別腹。ん、おいひぃー』

「甘そ・・・」

『そんなことないよ?抹茶だもん。いる?』

「いい」

『そんなこと言わないでー、ほら』

無理矢理に抹茶色のアイスをスプーンに乗っけてオレの口まで運んでくる
仕方なく口にいれるとの言ったとおり、そこまで甘くなかった
まぁ、抹茶が好きではないから微妙なのは変わらなかったが

『そこまでないでしょ?』

「・・・まぁ、そこまでな」

『何その言い方ー』

「抹茶がまずい」

『えぇっ!・・・って、声大きいよ』

に言われたくない」

『あ、すいません・・・』

一人で慌てて周りに頭を下げるがおかしかった

『なに笑ってるのよ・・・サスケが悪いんだからね』

「無理矢理食わせるからだ」

『もー・・・ねぇ、話戻るけど・・・本当に何もないよね?』

「・・・あぁ」

『その間が心配なんだよ・・・ねぇ、本当?』

「心配性なんだよ」

『・・・そう?なら、いいんだけどね』

「あぁ」

は本当に勘がいい
オレが何かをしようとする時、いっつもまっさきに分かるのはだった
何かと干渉してくるが昔は嫌いだった
偽善者だと思っていた
の表情、態度、話し方、すること・・・なにもかもに苛立っていた
まぁ、それを意識するっていうのかもしれないが

の表情はいつも穏やかで、でもころころと変わった
喜怒哀楽がすぐ顔に出て分かりやすい
オレとは全く違うようなところに苛立ちながら惹かれていった

の態度はいつも従順だった
厳しい任務の時や目上の人に対する態度はきちんとしていて、礼儀がなっていた
でも友達には友達なりの対応の仕方があって、決して人を傷つけないように考えて行動していた

の話し方は女らしく、声が透き通っていて、遠くからでも聞けばすぐだと分かった
はオレが見るときいつも人に囲まれていて、中心でも端でもない存在だった

何もかもに、惹かれた

『サスケくん、また修行?』

「関係ない」

『ほどほどにしないとだめだよ』

「うざい」

『・・・ごめん』

初めて、謝られた
そのときの顔は悲しそうで、とても罪悪感に満ちてしまった

「そういえば、なんであの時謝ったんだ?」

『あの時?』

「あの時だよ、オレがお前にうざいって言った時」

『あぁ・・・嫌われた!って思ったから』

「なんだよそれ・・・」

はおかしそうに笑うとまたパフェを口に運んだ

『またなんで急に?』

「・・・思い出したから」

『・・・そっか』

悲しく、寂しく、が微笑んだ
なんでオレは、にこんな顔をさせているんだろう

「食べないのか?」

『大好き』

「あ?」

聞き取れなかったわけじゃない
確かにその言葉は小さくてか細くて頼りなかったけど、オレはの声を聞き逃したりしない

『ううん、何もない。食べるね』

せかせかと黙々とはただパフェを口に運んだ
食べ終わるまで喋らなかった
会計を終わらせてまた桜の並木道を二人で歩く

『はぁ・・・おなかいっぱい』

「だろうな」

『・・・サスケ』

急に、真剣な声
は立ち止まってオレを見ている
まっすぐに

『大好き』

「急になんだよ・・・」

そう言うとは微笑んだ
優しく、ふわりと
でも涙も零れ落ちた

オレはその涙をすくい、そっと口付けた
優しく、唇が触れ合う


『これからもずっと、好きでいていい?』


オレは、何も言えなかった


自分の運命を恨んだ
だけど、所詮この運命を選んだのは自分なのだと思うといたたまれなくなった

「大好きだ」

オレは、これからもずっと、一生お前が好きだ
でもそれは、オレの想い
は、は、幸せになってくれ

オレのことを忘れて





「絶対、幸せになれよ」





そう言って体を離すとはその場に泣き崩れた
オレは振り返らずに歩いた

もう二度と戻って来れないかもしれない
だから、お前だけは
どうか、お前だけは








想いを込めて、夜空に願う。オレが愛したお前だけは、どうか幸せにしてやって下さい。









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