って、って、着いた


















「お、沖田さん!」

「あ?なんですかィ?」



ずいっと、顔が近くなる。明らかにからかってるんですこの人。さすがに私でも分かります。今まで1年、この真選組入隊して1年。ずっとこんな感じなんだから。なのに、なのに私の胸はいつまでもドキドキと鳴り続ける。顔だって赤くなるし。分かってるんです。分かってはいるんですけど。

どうしようもないじゃないですか。



「近、い、です」



ゆっくりと後退りをしながら、声にならない声をあげる。かっこ悪い。バレバレじゃないか。



「いつやっても、さんの反応は面白いですぜ」

「か、から、かわかな、わ・・・からな・・・からかわないで下さい!」



何回もかみまくって言った言葉には説得力がなくて、沖田さんはというと、そんな私を見て馬鹿にしたような笑いを浮かべる。(ひどい!)でもそんな顔にも私の胸はときめいているんです。だってそんな笑顔反則じゃないですか!普段あんまり笑わない癖に・・・!



「笑わないで、下さい」

「すいやせん」

「いえ・・・」



素直に謝られたら許すしかなくなってしまう。これもいつもと一緒のやりとり。



「それで、何か御用ですかィ?」

「あ、いや、えっと・・・」



あれー、なんだったっけ!なんだったっけ!



「・・・忘れちまったんですかィ?」

「・・・!い、いえ!断じてそんなことは!」

「・・・忘れちまったんですね?」

「・・・・・・はい、すいません」

「いえ、謝ることないですぜ」



すとん、と座り込む沖田さん。そして自分の隣をポンポンと叩く。その合図に気づいて、隣に座ろうとする。けど、

あぁ、どれくらい距離を置いて座ればいいんだろう。どうしよう、あぁ、なんでこんな小さなことで迷うんだろう。(そりゃあ好きだからなんだけども!)えーと、えーと。沖田さんがポンポンと叩いたところは近すぎるし、でもかといってあんまり離れたら変な誤解が!あぁどうしよう!



「・・・変なこと考えてねぇで、座って下せぇ」

「え、あ、はい」



沖田さんに注意されたので慌てて座ると、思ったよりも近いところに座ってしまった。(あぁどうしよう!)離れたり、できないし。いや、嬉しいけど・・・。



「な、何、ですか」

「そんなに緊張しないで下せぇ。オレにもうつっちまう」

「・・・」



ひい、どれだけからかえば気が済むんですか!



「そ、それで、えっと・・・何ですか?」

「いえ、別に何もありやせんが・・・思い出すのに時間がかかりそうなんで」

「あ!(私のせいでしたか!)すいません。沖田さんはお忙しい方ですし、何かあるんでしたら、行っても、構いませんよ?私、思い出したら追っかけますから」

さんに追っかけられるのも捨てがたいですけど・・・」

「え!」

「ここで思い出してくれるまでゆっくり話した方が、オレは嬉しいですぜ」

「え、あの、それは・・・」



恥しくて沖田さんの顔なんてとても見れなかったけど、確実にあの意地悪い笑みを浮かべているんだと思った。いつもいつも同じようにドキドキさせられっぱなしで、私の心臓がもたない。
なんてゆーか、ズルイよね。自分だけ余裕でそんなさぁ。
ズルイ。



「私も、そうです」

「・・・」

「てゆーか、もう、こんなんじゃ、思い出したく、ないです。例え、思い出しても・・・言いたくない、です」



……どうしよう!沖田さんに何かされたときより遥かに心臓がもたない!なんで?沖田さんは超余裕で言う癖に!
・・・あ、そっか。
私は沖田さんが好きだからこんなにドキドキしちゃうんだよね。



沖田さんは、




「あ、あははははは、な、なんて、ね」



急に悲しくなった。私がこんなこと言ったって、沖田さんには何の効果もないのに。



「何、泣いてんですかィ?さん」

「え?」



涙が、ぼろぼろぼろって、止まらない。まるで心臓の音みたいに、歯止めが利かない。悲しくて涙が出るのは分かってる。好きだからドキドキするのも分かってる。でも、自分で止められない。止まらない。だって、制御ができない想い。

そんな私を見てどうせ沖田さんは笑っているんだろう、と思って顔を見たけど全然笑ってなかった。そしてまた、ぐんっと(ただでさえ近いのに!)顔が近くに寄る。私の耳元に沖田さんの口が、呟く。



「それなら、一生思い出さないで下さい」



ほらまた、そういうこと言うんだ。私をからかって。こんな、ドキドキな、今にも破裂しちゃいそうなほど心臓が高鳴ってるのに。なんで…私が、嫌いだからなんですか?何とも思ってないからなんですか?



「なんで、なんで、そんな、からかうんですか・・・私、私は、好きで、沖田さんのこと、好きで、言ってるのに・・・!」

「からかってなんかいやせんぜ。オレだってさんのことが好きで言ってんです」

「・・・え?」

さんは鈍感過ぎますぜ。だからオレだってどんどんエスカレートしちまいます」

「え、だって、全然、ドキドキとかしてないじゃないですか」

「してますぜ、めちゃくちゃ」

「う、嘘だ・・・!」

「ほんとですぜ。確かめてみますかィ?」

「え?」



ぐいって(なんか今日はそれが多い)腕を引っ張られたかと思ったら、暖かい。え、何?何が起こったの?何が起こったかは分からなかったけど、確かに、私の耳には少し早い心臓の音が聞こえる。



「オレの心臓の音を早くできるのはさんくらいですぜ」

「・・・なんでそんな、次から次に口説き文句が出てくるの・・・?」

「オレは全速力で走ってもこんなに心臓早くなりやせんから」

「・・・(話逸らした)・・・ねぇ、ってことは、私たち、両思い、なのかな?」

「そういうことですねィ」

「・・・そう、なんだ」

「どうしやした?」

「なんか、私かっこ悪い・・・一人で勘違いして」

「可愛かったですぜ?」

「・・・(言葉攻め・・・!)」



何か暗くなったと思ったら、総悟の顔が真上にきた。あ、私今抱きしめられてるんだ。(今気づいたって遅い)やっと状況を把握できたってのに、今度はまた変なことが。分からない、分からない。
何、この唇の感覚は。
そっと顔をあげると、またあの笑顔でいる。



「ファーストキスですよね?」

「・・・あ!あぁあ!」



やっと頭がついてきたって思ったのに、再び唇が重なる。そして音が、する。ちゅっちゅって。(あ、ここからちゅーってきたんだ)かと思ったら今度は何?え?何・・・沖田さんの、舌?苦しいけど、嬉しいけど、あぁもうどうしよう。

唇を離したとき、息がはぁはぁとなっていた。



「あ・・・!」

「・・・なんですかィ?」

「用事、思い出しちゃった・・・」

「言わないんじゃなかったんですかィ?」

「・・・土方さんに、殺される」

「オレがさんを守ってやりやす」

「・・・いや、えっと、沖田さん・・・うし、ろ・・・」

「はい?」



沖田さんが振り向いた瞬間、土方さんの蹴りが飛んできた。って思ったんだけど、沖田さんはいつの間にか避けていた。(え、なんで?)



「沖田ァ・・・・・・お前等オレの用事をすっぽかしてこんなとこで何やってんだァァァァ!」

「え、いや、すいません!え、あの、すいません!」

「いいところ邪魔しないでくださいよ、土方さん」

「何だと!?だいたいお前はオレの気配に気づいてながら・・・」

「え、気づいてたの?沖田さん・・・」

「黙って覗き見なんて・・・土方さん趣味が悪いですぜ」

「な!別に覗き見てたわけじゃねぇ!」

「え、見られてたんですか!えぇぇ、いや、どうしよう!」

「さ、土方さん。さっさと仕事行きますぜ」

そういうと沖田さんはささっと先に行っている

「あ、くそ、待て沖田ァァ!、お前は今度説教だ!」

「え、あ、はいぃぃ・・・」



恐いですよ、でも本気で忘れてたんです土方さん。



、またあとで!」

「あ、はい(え、今、って)」

「あ、あとそれと」

「はい?」










「オレのことも呼び捨てで


呼んで下せぇ。」「…はい」










「おめーら、オレをどんだけ馬鹿にすれば気が済むんだァァァ!」


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