いくらこの恋がズルイ恋だとしても、私は想いを止められない。











「こんにちはー!」

ドアを勢いよく開ければそこには私の幼馴染によく似たアルと鬱陶しそうな顔をするエドがいた。

「何よ、その顔ー。もっと喜んでよ。」
「何の用だ。」
「愛に来ました。」
「さようなら。」

がちゃんとドアが閉まる。大声で泣き叫ぶと笑顔でアルが出迎えてくれた。(アル可愛い!)

「兄さんったらなんでにそんなに冷たいんだよ。」
「そーだよ。」
「うるさいからだ。」

一刀両断です。

「エドねぇ…私がいっくら心が広くても、あんまりひどいこと言うと泣くよ?」
「いっつも泣いてるだろ。」

そうでした。ついさっき泣き叫んだところでした。

「わかった、静かにする。エドとアルの邪魔しない。だからいさせてください。」
「…。」

背中を向けたまんまのエドにアルは仕方ないといった感じで言う。

「もういいじゃない、兄さん。だってこう言ってるし。」
「…仕方ねぇな。」
「やったー!」

は、と気づいた頃にはもう遅い。エドの眉間のしわは明らかにさっきの約束を責めていた。

「今のは…ノーカウントで。」



私とエドのつながりは、ハイデリヒだった。私はハイデリヒの幼馴染で、エドにとってはそこら辺の人、みたいな存在だった。 でも私はそんな関係をやめたかった。私はエドが好きだから。 エドは前に比べて、穏やかになったし、私に対しての扱いも前よりはよくなった。(これで?って感じだけど。)ハイデリヒから聞いていたアルと、ウィンリィの存在が気になっていた。
そして突然私の前からハイデリヒは消え、そっくりなアルが現れた。もちろん、悲しかった。悲しいし、悔しいしで、相当落ち込んだ。私はハイデリヒと一緒に育ってきたから。
でも、エドはアルが来てから優しくなった。ウィンリィって子が一緒に来なかったことについては訊けなかった。

もしかすると私は、ズルイのかもしれない。
そう思うと気が引けた。


「本当に喋らねぇな。」
「え?あ、あぁ、うん。やれば出来るんだよ。」
「そこで自慢しなきゃいいのにな。」
「あれ。」
「…何か、考えてたのか?」
「え?」
「顔が真剣だった。」
「え、あぁ…ちょーっと昔のことをね。」
「言いたくないなら、別いいけど。」
「いや、そういうわけでもないんだけど。…あれ、アルは?」
「ちょっと物取りに行ってる。てゆーか話そらしただろ。」
「…なんで分かるの?」
「いっつもぽけーっとした顔してんのに、真面目な顔してっからだよ。」
「失礼だなあ。いっつも可愛いお顔してるじゃありませんか。」
「…それで?」
「…んー…ハイデリヒのこととか、色々、ちょっとね。」
「…そうか。…悪かったな。ハイデリヒは、オレが殺したようなもんだ。」
「何言ってるの。望んだのはハイデリヒだよ。ひたすらなお人よしだったから。」
「…そうだな。」
「でもさー、本当にアルとそっくりだよね。だからまだ信じられないんだよね。アルと話してるとハイデリヒと話してるみたいで。」
「そうか。でも、あいつはあいつだ。」
「うん、分かってはいるんだけどね。信じたくないのかも。」
「そうか…。そういえば、オレってお前のこと何も知らないんだな。」
「そうだよ!エドってば前まで人に無関心だったから。」
「そうだなー…。」
「でも私はたくさん知ってるよ。エドのこと。」
「あ?」
「ハイデリヒからたくさん聞いてた。」
「あぁ…そうか。」
「これからは私のこともたくさん知ってね。名前はっていうんだよ。」
「それくらいは知ってるよ。」
「…ねぇ、ズルイかな?私今結構幸せに生きてるんだ。」
「ズルくねぇだろ。別に。」
「そうかな。今、私が幸せな分だけ、不幸せな人がいるような気がする。」
「…まぁ、世界は広いからな。不幸な人だって、世の中にはいるだろ。」
「…そっか。エドは、幸せですか。」
「なんだよ、急に。」
「エドには幸せでいてほしいんだよ。」
「そういうことを平気で言うな…。」
「そういうことを平気で言えるのが私のいいところだよ。」
「…まぁまぁだよ、まぁまぁ。」
「…そっか。」



アルが帰ってくる音がした。するとエドは立ち上がった。

「さて、と。」

ごめんね、でも、私は。

「…なんだよ。」

エドの袖をつかむ。



「私は、エドが大好きです。」



思わず告白をしてしまった私の前には真っ赤になったエド(初めて見た!)と嬉しそうな顔をしたアルがいた。






いくらこの恋がズルイ恋だとしても、私は想いを止められない。






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