私、エドに甘いなー。






君がいれば十分で、もう私は、本当に。






「にゃー。」

突然変な声を上げた私をエドは振り返る。

「なんだよ。」
「にゃ。」
「うわー…似合ってねー…。」
「はい!?」

そんなこんなで言い合いをしていると私たちは二人して追い出されてしまった。そう、ここは図書館なのだ。あんなに騒いでいたら、追い出されて当たり前。だけどエドは相変わらず文句を言っていた。

「お前のせいだぞ。」
「エドのせいだよ。」
「オレのどこが悪いんだよ。」
「にゃー。」
「…。」
「…。」
「…。」
「…、エドが本ばっか読んでるからいけないんだからね。」
「オレは悪くない。」

はぁぁとわざとらしく大きくため息をついて、頭の後ろで腕を組むエド。ちょっと悪いことをしたかなぁ、なんて。思ってはいるんだけど口に出せるわけもなくて。それに、そんなことより、エドと外を歩くのは久しぶりで、自然と顔の筋肉が緩むのを感じた。

「何笑ってんだよ、気持ち悪ぃぞ。」
「ひど!女の子にそんなこと言ったらモテないよ?」
「大丈夫だよ、お前以外には言わねぇから。」
「何よー!」

エドが笑う。久しぶりじゃないのに、久しぶりに見た気がするその笑顔はとても眩しかった。エドはポカポカと殴る私の手を途端に受け止めて強く握った。そして握ったまま私を引いて歩く。いつもエドは突然にそういうことをやるから心の準備が出来てない私は、自分でもどんな顔をしてるのかわからない。だけどエドはその顔を見て面白がる。…くやしい。

「結構久しぶりだね?エドと二人で外を歩くなんて。」
「そういや、そうだなぁ。ここんとこ忙しかったからな。」
「何が忙しいよ、ずーっと本読んでただけじゃない。そんな生活続けてたらメタボになっちゃうよ?」
「なんねぇよ。」
「いやー、太ったエドなんてみたくなーい。」
「人の話全然聞いてねぇな…。」

そこで、エドが私の手ををさらに強く握り締めた。横でなんやかんや言ってる私を遮るように言う。

「ようするにー、お前はオレと遊びたかったんだろ?」

ニヤニヤと意地悪そうな笑顔で言うエド。まぁかっこよくないこともないけどね、ふん。

「そうだよ、そうだよ!悪いですか。」
「おっ、やけに素直じゃーん。」

と、からかう様に言って、もう片方の手で私の頭をわしゃわしゃとなでる。金色の髪が、太陽に反射してきらきら光って、綺麗なんだけどまぶしい。

「あー、私はこんなに素直なのにエドワードくんは素直じゃないなぁ。」

私もからかうように言ってみる。

「オレは十分素直だろうがよ。」
「どこがぁ?」
「ほれ。」

と、繋いだ手を上にあげて私に見えるようにする。

「行動ではなんでもするよねー、エドは。」
「何だよそれ、変態みてーじゃん。」

笑いながらエドは言う。

「変態じゃないんだ?」
「あぁ!?」
「冗談だって、いたいー!」

エドがわざと強く手を握る。

「もーっ!」
「ざまーみろ。」

いひひと笑うエド。その笑顔が好き。

「エド、名前呼んで?」
「あ?なんだよいきなり。」
「いいからー、エドなんか私の名前あんま呼ばなくない?」
「…そういえばそうかもな。」
「ほらぁ!ね、ね、ね!早く呼んでっ」
「そう言われると呼びたくなくなる…。」
「なんでよーっ!私はエドエド言ってるんだからね!だいたいエドはっ、」
「あーもー、うるせぇなぁ、はー。」

「…………うん。」

突然呼ばれて、恥ずかしくて、だけどエドはそんな私の顔を見てにやにやと笑った。何だよ、こいつ。
私の隣には、エドがいて。エドが名前を呼んでくれて、もう十分だと思った。
たまにでもいいや、エドと一緒にいられるのならなんだって。 私、エドに甘いなー。




"If there is you, is enough;" The end...







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